こんなはずじゃ…マーケティングに失敗する5つの根本的原因
誰もが失敗を恐れます。 「私は失敗を恐れない」 そう固く信じて生きる人もいますが、恐れは緊張感として上手に活用されているのです。 失敗にはもちろん規模の大小があって、それに従い失敗に巻き込まれる人の数も増えていきます。
自宅のカーペットにシミがついたら、1人でもくもくと洗い落とせばいいのですから解決は時間の問題でしょう。洗った部分の見た目が悪くなっても、放っておくことも出来ます。
しかし、企業活動内での失敗は、1人だけの問題では済みません。 カーペットについたシミは、瞬く間に波紋を広げ、時間を置けばどんどん複雑になり、焦って手を打っても方法が適切ではなかったら事態を悪化させることもあります。
失敗への対処をあらかじめ考えることも重要ですが、失敗を招きそうな要素は出来るだけ排除しておくに越したことはありません。 今回は、マーケティングに失敗を招く5つの根本的原因を探ってみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
1.流行に流される
世間の“流行”を作る側であるマーケターが、本気で流行に流されて自分の言動を左右させているとしたら? 流行は魅力的なものなので、好奇心をくすぐられ、自分も取り入れてみたいと思うのは自然なことです。
流行に敏感な証拠でもあるので、マーケティングも好きになれるのかも知れません。ユーザー視点を大切にしているとも言えるでしょう。 しかし、ある“流行”を見つけた時、優れたマーケターは流行の秘密を探ります。
流行は最終的に残った現象のことであり、あくまで一部です。 現象生み出すに至らせた本来の要素はあえてユーザーから隠されます。あるコーヒーメーカーがカフェインの中毒性をあえて打ち出して顧客を獲得しようとするには、よほどの技術が必要でしょう。
あるマーケティング手法が“流行”する時、背後にはそれを流行させることで利を得ている人がいると考えるべきです。考えて、現象の細部まで探り、それから導入を検討すべきです。
あなたが新しい情報の受け手である場合、まずは疑い、学ぶ。 ユーザー視点を大切にすることと、本気で流行の虜になることとの間には、天と地の差があります。
2.経験者をチームに入れない
新しい情報が錯綜し、更新され、さらにスピードが求められるビジネス界に身を置く私たちは、日々新たなことに果敢に挑戦し続けます。華麗に活躍するスタートアップ企業の修業時代の逸話を耳にすると、「自分たちにもこんなことが出来るかもしれない」と感じます。
しかし、それは弊害かもしれません。 挑戦することばかりが美化されて、ある新プロジェクトを進行させるためのチームに経験者を入れないこともしばしば起こるのです。
全てを1から学んで、メンバー全員で成功へ導こうという努力や決心は美しいですが、企業の成長という観点から見れば、時間や労力の無駄になってしまうこともあります。 経験者をチームに入れることの利点は、
1)すでに色々試してきたので、望む結果から逆算して力の配分が分かる
2)大局的な視点を養われている
3)その結果、各フェーズで何をしたらいいか分かる
などがあります。 経験者が社内でつかまらない時は、外部から相談者役を呼んでくることで、軸を保ち、出来る限り無駄の少ない挑戦ができます。
3.力の配分を間違う
限られた資源から最高の結果を生み出すことが求められるビジネスにおいて、力の配分を細かく決めておくことは非常に大切です。 例えば、コンテンツマーケティングを導入する場合、オウンドメディアを利用することにしたとしましょう。
ゼロからの構築ですから、時間がかかります。コーディングの出来る人を採用したり、UI向上のための意見を外に求めることもあるでしょう。 これまでになかったものが生まれるのですから、楽しくないはずがありません。
夢中になります。そして、やっとコンテンツマーケティングを展開するための基礎であるサイトが完成した段階で、「ライティング人材が足りない!」、「思ったより更新に手間がかかる!」、「訪問者数が全然いない!」なんていう問題に突き当たることはざらにあります。
資源や時間をこの問題解決のためにあらかじめ確保できていたら良いのですが、夢中になると盲目になりがちです。 そうなってしまわないためにも、どこにどれだけの人材と費用を注ぐか、力の配分をきちんと決定しておくのが賢明といえるでしょう。
4.短期的な成果にばかり目が行く
新たな施策を打ち出した。割引の告知をした。テレビで紹介された。 こんな時、企業はすぐに業績への好影響を期待します。 実際、それらがきっかけで上昇気流を掴んだ、なんていう話もあります。
しかし、まったく反応がないことも珍しくありません。 すると、たった1か月で施策を中止してしまう。理由は「成果が出なかったから」。 テレビCMを期間限定で打ち出して、終了後視聴者から全く反応がなかったのであれば、1つの失敗があったとみなせるかもしれません。
全く話題にならなかったのに、「そういえば、1年前に放送されていたあのCM面白かったよね」なんていう復活劇は考えにくいからです。 しかし、例えばネットを利用したコンテンツマーケティングの場合、すぐに大きな成果を望むことは出来ません。ほんの数記事しかないブログに、読者登録をしようとは思わないのと同じです。
更新されるかも分からないし、いつでも質の高い情報が手に入れられるか分からないからです。実際は、コンテンツが蓄積して、SEO対策も安定して打つことができ、確実に更新し続けて、やっと成果らしいものが見え始めるものです。
このようにマーケティングの手法によって、短期的成果、長期的成果、どちらがどのように評価されるかは異なります。 くれぐれも、目先の業績だけで施策全体を判断しないようにしましょう。
5.失敗から学ばない
失敗を避ける方法はいろいろ試せるけれども、必ず失敗にはめぐり合うもの。 失敗の正体は、目標・期待と結果との間にあるズレです。 挑戦する限りは、結果が必ず期待に沿ったり、それ以上だったりというのは非常に珍しいことです。
そして、失敗から学べるものはたくさんあるということを忘れてはいけません。 1985年、ペプシの市場規模拡大に対抗して、コカ・コーラ社はもっと美味しいはずのNew Cokeを発売しました。
ところが、従来のコーラを失った既存の顧客は怒り、同社は従来のコーラをあえて“クラシックコーラ”と名付けて売り出すことでさらなら成功を収めました。 成功した施策ばかりを繰り返して、失敗した施策を放置しておくと、磨けば光る財産をみすみす捨てておくようなものかもしれません。
最後に
避けられればそれに越したことはありませんが、やはり避けることが出来ないのが失敗。 本当に重要なのは、失敗だとみなされる結果を受けた時、それを磨いてどうやって成功に仕立て上げるか。
カーペットにシミは、見方を変えれば、綺麗な模様になるかもしれません。